「さぁ、なんでだろ」
「はッ、お前ホント最悪な女だよ」
『最悪』と言いながらも、社長は嬉しそうに笑っていた。
きっとあたしの恥ずかしさの裏側の、本当の気持ちが通じたんだ。
気持ちを言葉にするのって、大人になればなるほど照れくさくなるけれど、とても大切なことだと思う。
「ねぇ、社長?」
「今度は何を企んでる」
「これから毎日、『愛してる』って言って?」
「オレは愛の安売りはしない主義だ」
「そうじゃなくて。一日一回でいいから!!」
社長が意地悪っぽく笑って言った。
「夜な夜なベッドの中で、お前の耳元で囁いてやるよ」
「約束ね?」
「おい、突っ込めよ。『夜な夜なベッドの中で』ってトコ」