「あたしね、自分から離れたくせに、社長に会いたくて毎日毎日朝から晩まであの場所にいたの。だけどずっと会えなくて……。このまま永遠に会えないんじゃないかって。そう思ったら、怖くてたまらなかった」


今でも、思い出すと涙が出てきてしまう。


あたしにはあの一週間がまるで一年のようにとても長く感じられた。


社長もあたしと同じ気持ちだった?


その瞬間、繋いだ手の力が更に強くなった。


『もしかして、あたしの気持ちが通じたのかな?』


「当たり前だ。お前が考えてることくらい分かる」

「ウソ!!」


社長がまたあたしの心を勝手に読んだ。


「オレを誰だと思ってるんだ。社長だぞ?」


『社長は関係なくない?』

と心の中で突っ込みを入れると、それも見事に返された。


「あるさ。よかったな?世界一素敵な旦那様を持って」


社長がフフンと得意げに笑う。