「何か話せよ」

「え?」

「このままじゃ、いろんな妄想でムスコが……」

「はッ!?ば、バッカじゃないの!!」


今のがあたしの緊張を解きほぐすための社長の優しさだとすぐに分かった。


社長は繋がった手に力を込めて、アクセルを踏み込む。


そんなに急いで早く2人っきりになりたいの?


なんだか今日の社長に今まで以上に“男”を感じて、あたしの胸のドキドキが半端じゃない。


きっと繋いだ手から、あたしの鼓動が社長に伝わっているはず。


そしてあたしも……


ありえないスピードで刻む社長の大きな鼓動の音が、あたしの身体を逆流してくるように聞こえる。