まさか、こんな形でお姫様抱っこされる日が来るなんて思わなかった。


社長が男らしくてよかった。

そんなことを思いながら、目の前の社長の横顔をマジマジと眺めた。


「……おい」


この腕に、あたしいつも抱きしめられてるんだよね……。


「おい!!」

「……え?何?」

「さっきから呼んでんのにシカトしてんじゃねぇ!!」


あっ、呼ばれていたのか。


「ごめん……」

「オレの話聞いてたのか?お前」

「……いいえ」

「何考えてんだ、人の話も聞かず」

「え?社長って、男らしいんだなーって」

「……は?」


社長がピタリと足を止めてあたしを見た。