「え……」

「お前、今のは反則だろ。……可愛すぎだ。どうしてくれんだ、その気になっちまったヤツがいる」

「へ?」

「ムスコよ、柔らかいベッドまで我慢できるか?」


社長が誰と会話をしているのか、やっと言葉の意味が分かって恥ずかしくなった。


「へ、変態ッ!!痴漢!!」


これが社長の照れ隠しであることは分かっているけれど。


なんだかさっきからずっと漂う変なムードに、どうすればいいのか戸惑う。


だって、まだ昼間だよ?


お互いどこかぎこちなくて、直視もできない。


この空気は早く断ち切らなければ、ドキドキしすぎて心臓に悪い!!



そんなおかしな空気が漂う中、先に口を開いたのは社長だった。


「友里が言ってたよ。お前に謝っといてくれってさ」


「え、友里さんが?」


「あぁ。自分のことしか考えてなかったって。酷いこと言って悪かったって言ってた」


「そっか」


友里さんにはもっと自信を持って生きてほしいと、今心から思う。


今度こそ、フェアな方法で自分と大河くんの幸せを掴んでほしい。


守るものがある友里さんは、きっともう幸せを自分で選べる強さを持ち合わせているはずだから。