それから数分間、あたしはそこから動けなかった。
さっきの出来事が離れなくて。
ただ唖然としていた。
気がついたときにはもう辺りは薄暗くなっていて。
一人で帰るのが怖かったから、誰かに来てもらおうかと思ったけど、やめた。
でも、ほんとに怖かった。
あんな剣幕で。あんな力で。
やっぱり男の子だった。
キレたときは標準語になっていた。
そんなこと、どうでもいいんだけど。
でも、ほんとに。どうしたらいいんだろうか。
あたし一人で断りに行けば、また同じことになるよね?
でも、さやなんてほんとに連れてけないよ……
あ…………
あの子なら…
あたしはすぐにケータイをとりだした。