あたしはとにかく
寂しくて知らないおじさんを
見上げて
お兄ちゃん、お兄ちゃんと
ただ泣いていた。



「おじさんが
お兄ちゃんのところまで
連れていってあげよう。ね?」



そう言って
伸ばしてきた
知らないおじさんの
手をあたしは
迷わず握った。



しばらく歩くと
しらない倉庫まで
来ていた。



「お兄ちゃん…っ」



「お兄ちゃんは
この中にいるよ」



おじさんの言う通りに
倉庫に入ろうとした時──…



「奈菜ちゃんっ!!」



あたしはその大声に
振り返った。