［休憩時間］　―ＡＭ:１０:４０―



「しかし驚いたな！」


突然、アイツに名指しされた稔は、ボヤクように言った。


「まったく！アイツでも普通の授業をするんだな！それにしても俺の問題は稔のより難しくなかったか？」



稔と同じく名指しされ問題を解くのに遅れた隆志が負け惜しみのようにぼやく。



「・・・どちらかというと稔の問題のほうが難しい問題だと思ったけどね・・・？」



幹男の言葉を無視しながら、隆志が雅樹に聞いた。


「それにしてもアイツは理科の教師だろ？なんで数学も教えられるんだ？」


「アイツは、ああ見えても全教科を教えられるそうだ。資格も取得しているらしい？」



アイツの意外な経歴に驚く３人。



「だから性格や指導態度に多少の問題があったとしても首にはしないんだよ。」


雅樹の説明に納得する３人だったのだが、幹男が立ち上がり間の抜けた事を言った。


「あっ！だからアイツは教頭派なんだ！」


アイツが教頭派だということは、２時間目が始まる前に雅樹が言っている。


幹男の言葉には、誰も反応しなかった・・・



「あっ！あれ…？」





キンコーンカーンコーン♪





自分の発言を無視されて、戸惑い立ちすくむ幹男を救うかのように３時間目の始業のチャイムが教室内に鳴り響いて行った。