「なんとか、なりそうだ・・・」


雅樹が、安堵の声をつぶやいた時に、3人の希望を打ち砕くような信じられない光景が目に映った・・・


前の席に座っている二人の体が、徐々に透き通ってきたのである!


「ま、雅樹!あれ、あれどうなってんのさー!」


悲鳴に近い幹男の言葉にも反応せず、雅樹は目の前でいなくなろうとしている前の席の2人の姿を見つめ続けていた。


2人の背中は、ゆっくりと透き通っていくのである。



徐々に筋肉や内臓が見え始めていく。まるで理科室にある人体模型のように・・・



そして、その筋肉や内蔵もやがて見えなくなり、骨格が現れ始めた。



雅樹たちの目に映っているのは、もはや人間の姿では無く、ただのガイコツであった。



やがて、2人のクラスメートであったガイコツは、徐々に形を失い完全に消え去ってしまった・・・



雅樹たちの見ている目の前から突然に・・・


「ま、雅樹!どういう事なんだ!」


幹男ではなく、隆志が悲鳴のような声で雅樹に聞いた。


「わ、解らない!何故?何故2人がいなくなるんだ!?」


もう既に5人いなくなっているのに・・・


「5時間目は、もう誰もいなくならないって言ったじゃないかー!」

今度は、幹男が悲鳴のような声で雅樹に向かって叫んだ。


「そのはずだ!今まで5人ずつ消えていたのに、どうして2人がいなくなる?」


「雅樹、本当は5人ずつとかてのは、関係ないんじゃないか?決まった人数なんて最初から無かったんじゃ?」


「いや、それならもっと早くから、この教室にいる生徒達を消せたはずなんだ。わざわざ授業に合わせて5人ずつ消していく必要など無いはずだから・・・?」


「で、でも現実に、いま目の前から2人が消えたじゃないか!」


たしかに消えた・・・間違いなく自分達の目の前から2人が消えてしまったのだ!