「解らないだろう?解らないはずなんだ。アイツはこの学校の教師じゃないのだから」


「教師じゃない!」


雅樹の発言に驚き、教壇のアイツに視線を向ける隆志と幹男。


「アイツが教師じゃないなら、アイツは誰なんだ?」


「俺にも、アイツが何者なのかは解らないが、みんなが教室からいなくなる事に関わっている事は間違いない」


「関わっているって、その根拠は?」


「俺達が、この教室を出ようとした時に、俺が言い訳ではしかの症状が出たと言っただろう」


「あぁ、あれには驚いた!」


「アイツは、俺達が既に はしかにかかっていた事を知っていた」


「それがどうかしたのか?アイツはたしか、稔に聞いたと言っていただろう?」


「それが、アイツが今回の出来事に関わっている証拠なんだよ」


雅樹の言葉に、またも戸惑う隆志と幹男であったが、雅樹の言葉に嘘はないだろう。


それほど今の雅樹の言葉は、昨日までの雅樹のように冷静沈着で自信に溢れている。


「稔も、はしかは子供の頃に、すでに掛かっているんだよ」


「えっ!」


「まじかよ!」


「ああ、間違いない。俺が子供の頃にはしかになったのは、稔にはしかをうつされたのが原因なんだから!」



「アイツは、嘘をついたのか?」



「そう、アイツは嘘をついた。俺達を教室に引き止めるためにね」



3人の視線が、一斉に教壇のアイツに向かった。