雅樹は、午前中から始まりだした異常な状況を改めて考え直してみる。

「あっ!」


「・・・いなくなっている・・・」


「そうだ!この教室からいなくなっているんだ」


小沼先生の話では、今日無断欠席している教師達も昨日の放課後に、この教室に集っていた・・・


・・・そしていなくなった!


・・・この教室から・・・



雅樹は、隆志と幹男に向かって言った。


「・・・出よう・・・」


「・・・えっ?」


「早くこの教室から出るんだ!」


突然、今までの展開とは脈略の無い雅樹の言葉に戸惑う隆志と幹男。


「・・・えっ!なんで?」


「説明はできないけど・・・この教室には、いてはいけない気がする・・・」


「・・・気がするって?・・・何が?」


「いいから出よう!」


雅樹は、立ち上がり教室にいる全員に言った。


「みんな、この教室にいるのは危険だ、早く出たほうがいい! 」


雅樹の突然な発言に教室内の全員が一斉に注目した。


「・・・高橋、突然なに言ってんのさ?」


「授業サボるの?勝手にすれば?」


「危険って?・・・何が危険なの、高橋くん?」


「いくら教師がいないからって、いまは自習時間だろう?」


当然のごとく、雅樹の言葉に従うものは誰もいない。


「この教室にいたら危険だ!いなくなってしまうんだ!」


「はぁ?・・・いなくなる?」


「いなくなるって誰が?」


「今、この教室にいる俺たち全員が、いなくなってしまうんだよ!」


「・・・俺達が全員?・・・なんで俺達がいなくなるんだよ?」


「何を言っているの?・・・訳が解らないわ?」


反論する、クラスメートに向かって必死になって答える雅樹。


「クラスの20人がいなくなっているんだよ!携帯に連絡しても誰一人連絡が取れないんだ!」


しかし、いつもの雅樹らしくない発言は説得力が欠けていて相手を納得させることができない。