「雅樹・・・?雅樹・・・!」


隆志の声で、我に返る雅樹。


「おい?雅樹、本当に大丈夫か・・・?」


あきらかに、いつもの聡明な思考の持ち主の雅樹では無くなっている・・・?


こんな状態の雅樹を見るのは、隆志も幹男も初めてなのである。


「あぁ大丈夫、それより話しの続きを聞かせてくれ」


雅樹にうながされ、隆志は改めて話しを始める。


「あぁ、えーっと?どこまで話したっけ・・・?」


「いなくなった所からだよ!」

幹男が隆志に向かって言う。


「あっ!そうそう、俺と幹男が教室に入ると、クラスの人間がいなくなっていたんだ!」


「雅樹が前に言っていたように、また5人な・・・」


「・・・5人!」


雅樹は、教室を見回してみる・・・


・・・また、5人いなくなったのか・・・


これで、教室に残っているのはクラスの三分の一の10人だけ・・・


・・・やはり・・・異様だ・・・


「・・・雅樹!・・・おい、雅樹ってば!」


「大丈夫!聞いているから続けてくれ」


隆志に向けた視線が、いつもの雅樹の力強い輝きを見せ始めていた。


「4時間目が始まって、クラスの半分以上いなくなっている事に、さすがにみんなも動揺しだしてな、授業の途中で俺がアイツに問いただしてみたんだよ」


「隆志にしては、いい判断だろう?」

横槍をいれるように、幹男が言った。

隆志は、その幹男の言葉を無視しながら話しを続ける。


「そしたら、アイツが理由を話してくれたんだよ」


「アイツが理由を!」


「そう、俺達にも納得できる理由をね」