[昼休み]-PM:12:45-




・・・どれくらい眠っていたのだろう・・・


雅樹が目を覚ました時には、小沼は既に保健室に戻っていてサンドイッチをほおばろうとしていたところであった。


「あっ!高橋くん起きた?」


「・・・あっ、はい」


「どう?どこか調子の悪いところある?」


「・・・いえ、大丈夫です」


「そう、なら早く教室に戻ってお昼ごはんを食べなさい」


雅樹は、自分が昼休みまで眠ってしまった事を知った。


「・・・いえ、食欲無いので・・・」


「だめよ、ちゃんと食べないと本当に具合悪くなってしまうから」


そう言うと、小沼はサンドイッチをほおばる。


「はぁ・・・でも大丈夫ですから・・・」


「本当に?」


「はい、大丈夫です」


「まぁ、無理強いはしないけど、まだ調子が悪いなら午後も寝ていきなさい」


「はい、ありがとうございます。でも、もう大丈夫ですから」


「そう、無理しないでね」


雅樹は、サンドイッチをほおばりながら、数学の教科書を見ている小沼に気づいた。


「保険医の先生がどうして数学の教科書を見ているのですか?」


小沼は、雅樹の問いかけに、サンドイッチを食べる手を止める。


「あぁ、これ?本当に困っているのよ。教頭先生がいきなり午後の3年A組の数学の授業をしてくれなんて言い出すから」


「・・・えっ?」


「どういう理由か知らないけど、今日は3年生の担当の先生達が大勢無断欠勤しているから私まで狩り出されているのよ」


「でも、先生は保険医なのでは?」


「私ね、これでも教員免許持っているのよ、担当学科は数学の」


「・・・そうなんですか・・・」


「しかし、服部先生たちには困ったもんね」


「あっ、やはり服部先生たちは、無断欠勤なのですか?」


「そうでしょうね、今日は指導カリキュラムを決定する日だったから」


「ほら、うちの学校は何事にも多数決で決定するでしょ、おそらく今日の指導カリキュラムを決めるのに、服部先生達は票を集めそこなったので、ボイコットの意味で無断欠勤をしたのでしょうね」