[休憩時間]―AM:11:45―



キーンーコーンカーンコーン♪



3時間目の授業の終了のチャイムが鳴り終わらぬ前に、雅樹は席から立ち上がり
教室を飛び出して行った。


その後を追って、隆志が走り出す。

「・・・雅樹!」

幹男も、隆志の後を訳も解らぬまま追いかけていく。

雅樹は、普段からは考えられぬほど、冷静さを失い走り続けている。


その後を、隆志と少し遅れて幹男が続く。


第三者から見れば、まるで逃げる雅樹を隆志が追いかけているように見えただろう。


それほど二人の存在は、校内の中で目立っていた。


雅樹は、保健室にたどり着くと力任せにドアを開けた。


バーン!!

雅樹が開けた保健室のドアが、衝撃で鳴り響く。


「なっ! なに?」


保険医の小沼は、座っていた椅子から飛び上がるように驚いた!


雅樹は、呆然としている小沼の横をすりぬけ、奥にあるベッドの仕切られた
カーテンを開いた。


シャーッッッーーーーーー!



そこには、雅樹の見知らぬ女の子が眠っていた。


雅樹は、その子には目もくれず、もう一つのベッドに視線を移す。


ベッドには、誰もいない・・・


「ちょ、ちょっと!あなた何をしているの!」


我に返った小沼が雅樹に詰め寄り叫んだ!



小沼の声に起こされたのか、ベッドに眠っていた女の子は目を覚まし、自分を見つめている雅樹と視線を合わせた。


「・・・えっ!キャー!」


保健室から突然聞こえてきた女の子の悲鳴に、雅樹を追ってきた隆志は何事かと部屋に飛び込もうとした瞬間。


「じゃまー!」


その言葉と同時に保健室の反対側の廊下に、隆志は突き飛ばされて倒れこんだ。


「なっ!なんだ?」


隆志の目に、自分を突き飛ばして保健室に飛び込む者の姿が映る。


「ゲッ!利沙!」



隆志を突き飛ばした者は、幼馴染の利沙だった。