「帰る。」


昨日はス-ツのまま寝て
しまって、体を起こすと
よれたス-ツがなお一層
よれる。


襟を正して、パンツの裾
を合わせて、荷物を持っ
た。


「そうやって私から逃げ
るのも、お母さんと一緒
やね。あんたらはやっぱ
り親子なんやわ。くだら
んね」


吐き捨てるように、ばあ
ちゃんがあたしに言った
のを聞き逃さなかった。


「もうええやん!!母親の
顔知らんあたしに、何で
そんな事言えるん!!最低
やな…もうここへは帰っ
てこんわ。今までありが
とうございました!!」


今日に限ってキレてしま
ったあたし。ばあちゃん
の目が見れないまま、実
家を飛び出した。


朝の道を一人で歩く。誰
も追いかけてきてくれな
い事に対して、寂しさも
感じる。


でも、腹は決まっていた。


もう、実家へは帰らない