天涯孤独になったあの日
から、二ヶ月が過ぎた。
ばあちゃんからも、じい
ちゃんからも連絡なんて
無い。


笑利菜さんには、連絡す
る事がない。あとは、い
つもと変わらない生活で
ある。


変わった事と言えば、彼
氏が一緒に住みだした。
歳は同じで、仕事はホス
ト。名前は、晃((あきら
))。


「あ-暇-!!」


あたし達二人とも、さっ
き仕事から帰ってきた所
だ。女のあたしは化粧を
落としたり、出勤前に食
べていく食事の用意とか
やらなきゃいけない事は
腐る程ある。


晃はというと、ただひた
すらお客さんへのメ-ル
を返信したり、聞いてい
るだけでイライラくるよ
うな色恋バンバンの電話
をしたり、それだけ。


「嘉穂、本屋行こうや。
本屋!!暇やん」


忙しく玉ねぎを刻むあた
しに横やりを入れてくる
のを、ちらっと睨んでか
らまた玉ねぎを刻む。


「無視かあ-!!」


煙草の火を消しながらい
つもの調子で怒鳴ってい
る。晃はいつも一人で何
か喋ってる。それが楽で
付き合った。そのまま3
年が過ぎようとしている。


「分かったわ…ちょっと
待ってて。あんたのご飯
作ってんのやから」


冷めてるし、気も強い。
そんなあたしが心を許せ
ているのは、今のところ
晃だけ。


見た目もタイプ、性格も
楽。こんな田舎に、こん
な男がいたのかと驚いた
ものだ。


ホストって仕事も、特に
引っ掛からなかった。当
時はあたしも、もう水商
売に染まっていた。同じ
夜の世界に生きる者同士
めでたくくっついた。