苛立っている自分に、期
待していた答えを聞けな
かった笑利菜さん。


また、長い長い、沈黙。


しばらくして笑利菜さん
が紙切れに何かを書いて
あたしに差し出した。


「あたしの携帯。何かあ
ったら電話してきい。」


黙って頷いて番号の書か
れた紙を受け取ると、そ
のまま笑利菜さんの車を
降りた。


昨日とあまりに違う今日
に、戸惑いを隠せない。


身内を失った。というよ
り、自分から断ち切った
事が一つ。


母親の存在が、急激に近
くなった。それが一つ。


たった二つの出来事が、
あたしの頭の中を掻き乱
していた。