「…あのなぁ。何妬いてるんだよ。たまたま平井さんに誘われたから行っただけだって」
『あたしを探しもしないでいったじゃん…』
「それはー…1人で家に帰れるって思ってたし…平井さんがずっといるのに美緒を探すためにキョロキョロするわけにはいかなかったんだよ」
そう言いながら美緒の頭に手を乗せた。
『…なんかムカつく』
「は?」
『よく分かんないけど…なんかムカつくの!』
そう言って美緒は俺をクッションで叩き始めた。
「ー…止めろよっ」
美緒の両手を掴んで大人しくさせる。
美緒は掴まれたまま、俺を見て
「じゃあもう行かない?」
と聞いてきた。
まぁ…自分から誘う事もないだろうしな。
『あぁ』
そう答えると
「ならいいやっ!」
途端に笑顔になった美緒。
単純だな。
『…でもしばらくは平井さん?を観察しとかないと』
そう呟いて俺の肩の上に頭を置いてきた。
…なんか、もう美緒が居なくなるまで何もできそうにないな、俺。