「今日はどうしました?」




始めに書かれた問診票を眺めながら聞く。






「ちょっと気分が悪くて…」





今回は30代のサラリーマン。





胸を少し押さえながら言う。






「吐き気はありますか?」




「はい…」



「それではちょっと見せてくださいね?」





俺は聴診器を胸に当てて、胃腸の動きを確かめる。






『この人が若い女の人ならラッキーなのにね〜』



美緒が、俺のすぐ横にある診察用ベッドの上に腰掛けて言う。




良かったのにね、って。




俺が診てたら絶対嫉妬する癖に。


と心の中で思う。





「ちょっと胃腸が弱ってるみたいですね。吐き気もあるようなので、吐き気止めも出しておきます」




「ありがとうございました…」





「お大事に」





そのサラリーマンは弱々しく部屋を出ていった。