俺が優しい?
全然優しくなんかないし。
「俺、優しくなんかない」
美緒に視線を向けず、俺は料理を食べる。
『そういうのが好きなの!』
明るい声の美緒。
“好き”
この家に住ませてやると言った時から何かあればこれだ。
「…」
俺が聞こえないふりをして何も答えないでいると、
『照れた?』
そう聞いてくる。
「照れてないし。
大体お化けにそんな事言われても嬉しくないし」
俺がそう言い美緒を見ると、
『お化けじゃないもん…
幽霊だもん…』
ぶすっとする。
「どっちでも良いよ」
死んでる事には変わりは無いし。
『良くない!』
お化けも幽霊もたいして変わらないだろ。
違いも分かんないし。
そう思ったけど、言い返すのを止めて代わりに質問をした。
「そういや、美緒、お前何歳?」
美緒の顔を見ながら聞く。
見た感じからして、明らかに成人してはいないよな…?
ちょっと見た目は大人っぽいし、可愛いけど。
『うーんっと…
いくつだっけ…?』
目を瞑り考え始める美緒。
「高校生?大学生?」
『…分かんないなぁ。
思いだせない』
そう言ってはぁ…と溜め息を吐く。
自分の歳も分からないのか…。