車に乗り、家へと向かって走らせる。
病院から家までは車で15分くらいの距離。
近いので何か呼出しがあった時もすぐに駆け付ける事ができて便利が良い。
疲れた体で長時間運転するのが嫌な為、早く帰りたくてこの家を選んだんだけどな。
マンションに着き、俺の足音が響き渡る通路を歩いて部屋のドアの前で立ち止まりもう一度溜息を吐く。
「はぁ………。」
……家に帰れるのはすごく嬉しいんだけどな。
なんだろうか、この疲労感。
早くこのドアを開けて家に入れば良いのだが、出来ない。したくない。
「……はー。」
最近、1日に何回も溜息を吐いている気がする。
………特に家で。
よし。行くか。
少し気持ちを落ち着かせてから静かにドアを開け、中に入った。
「……ただいま…。」
靴を脱ぎ、リビングへと向かいながらボソッと呟く。
電気は点いているのに俺の帰宅を知らせる呟きに返事は無い。
……主が帰って来たんだけど。
返答の無い静かな室内に不思議に思いながら、リビングのドアを開けるとソファの上に高校生くらいの女が横たわっている。