「お前と違って霊感があるからだ。見えなくて良いものが見えるのは厄介だな。

あいつをお前の所に帰らせる。
一つだけ言っておくが、あいつはお前が大好きだ。毎晩寝言でお前の名前を呼ぶくらいな。お前の言い様によればすぐ姿を現すだろう。早く風邪治せ」




真山先生はドアノブに手を掛けた。



「真山先生、ありがとうございます」




俺が声をかけると、一瞬動きを止めたがまたすぐにドアを開け出ていった。




…美緒の考え。



全部俺の為に。




俺の事を心配して。




言ってくれた事だったんだな。





何故だろう?




最初は嫌だと思っていた美緒が



いつの間にか俺のそばにいるってのが当たり前になって




毎朝起きたら笑顔で『翔、おはよ!』って言ってくれて




俺が相手にしなくても俺の事を好きでいてくれて




よく考えたら、俺のまわりをうろちょろして相手にするのが面倒だと思うことはあったけど




美緒が俺の為にしてくれていた事もあったな。




味の薄い料理とか。




洗濯物とか。




掃除とか。





いつの間にか美緒がするのが当たり前になっていたな。