もう止めろと言ったのは美緒の優しさだったんだ…
それに全く気付かなかった俺は…情けないな。
美緒が俺の前から消えたのも探させない為か。
「もう探すのは諦めろ。県内の病院にはあいつに該当する死亡者はいないみたいだ」
真山先生はそう言って立ち上がった。
「…とにかく。俺の家にあいつはいるから安心しろ。そして早く風邪治せ」
「美緒を…美緒を帰して貰えませんか?」
俺は真山先生を見つめる。
部屋の中は電気をつけず暗い為、真山先生がどんな表情をしているのか分からない。
「…帰してもいいが、今のお前にあいつは多分見えないぞ?」
少しの間があり真山先生は口を開いた。
「どうしてですか?」
「あいつがお前の前に姿を現したくないと思っているからだ。
現にさっき病院でも車内でもあいつは心配そうにお前を見ていたが気付かなかっただろ」
見えない…?
さっきから美緒は俺の側に居てくれたのか?
「…どうして先生は見えるんですか?」
俺が聞くと真山先生は溜息を吐いた。