「美緒の話って…今美緒が何処にいるか知ってるんですか!?美緒は何処ですか!」
冷静な真山先生とは反対に俺は声を荒げる。
体の中が熱のせいか、熱くなっていくのが分かる。
「落ち着け。あいつは今俺の家に住み着いてる」
「先生の家に…?」
「あぁ。雨が激しく降る中、びしょ濡れになって泣きながら病院の俺の所に来た。
お前が納得してくれなかったから家を飛び出して来たってな」
真山先生は何処か違う所に視線を向けて話す。
「納得って…出来るわけないじゃないですか!
いきなり美緒の身元を探さなくてもいい、って言いだしたんですよ!?
身元が分かれば成仏できるかもしれないのに…」
「どうして、あいつが探すのを止めろと言ったか分かるか?」
真山先生は静かに聞く。
「…成仏したく無くなったと言ってました」
美緒は、この世界にまだいたいと言っていた。
でも、俺はそれはいけないと。
そう俺は言ったんだ。