『そんなにあたしに成仏して欲しいの…?』







「…美緒?」








真っ直ぐ俺を見る美緒の目は寂しそうだった。









『そんなに翔の前からあたし、消えてほしい?』






「…美緒」









名前を呼んでも答えず俺の目を見たまま黙っている美緒。







「なぁ、美緒…」








俺は美緒を掴んでいた腕を引っ張り自分の胸の中へと引き込んだ。






『離して』








いつもならそんな事言わないはずなのに、俺の胸を押し返すようにして離れようとする美緒。










「お前は幽霊なんだ。ここにいちゃいけない。早く成仏して楽になってほしい。だから俺は美緒の身元を探すんだ。

美緒がここにいたい気持ちも分かる。でも、成仏しないと」








離れさせないように俺は力を入れて美緒を抱き締める。