「いつも浮きながら寝るのか?」
馬鹿にしたようにあたしに聞く先生。
『今日が初めてだよっ!』
今まで知らない間に移動していたと言う事は無かった。
あたしはベットから出る。
「早く用意しろ。病院行くぞ」
先生もベッドから出ると鞄を持って玄関へと歩いていく。
先生も今起きたかと思ったけど、違ったんだ…
『あたし病院行かない』
玄関で先生が靴を履いている後ろであたしは言った。
「なんで」
先生はあたしに背中を向けたまま聞く。
『翔に会いたくないし、もう何もすることが無くなったから病院行ってもつまらないもん』
もう病院に行く意味も無いし。
「川島に会いたくないと思うならお前の姿は川島には見えないはずだろ。とにかく付いてこい。留守中に家のなかうろちょろされたら困る」
そう言って振り返るとあたしの腕を掴む。
本当に翔に見えなくなってしまうのかな?
あたしは先生の後ろに付いて車に乗り、病院へと向かった。