「受け取ってくれたぁ?千夏って、私ですぅ。あのね、前からいいなぁって思ってて……」
尻尾フリフリしながら、わざとらしく目を見開く彼女を、凌は観察するようにジーッと眺める。
そして、彼女の見開いた目のちょうど真ん前に、さっきの紙を差し出した。
「いらない。俺、メールとかめんどくさいからしないし」
「え……。あ、でも、そしたら電話だけでも……」
「電話、嫌いなんだ。相手の状況知らずにかけるのも、俺の時間裂くようにかけられるのも。だから、いらない」
「……」
彼女の尻尾がパタッと動きを止めた。
もちろん、そんなの見えないんだけど。
『シュン』という音がピッタリな表情……。
そして
『優羽、なんとかしてよ』
って目を私に向ける。