「え、あ……
べ、別に僕は大した事は
してないよ…!
でも…ありがとうな」

「………昴……」

周りの人なんか関係なく
二人の世界

ただ、この時ミッシェは
何に謝礼をしてるのかしら
と聞こうとして僕の名前を
呼んだらしい

ちょっと悲しい

この微妙な二人だけの世界を
でかい声が壊してくれた

「お、お前ぇぇーーーっ?!
ミシェリーゼと何
イチャイチャしてんだっ!
オレのミシェリーゼに
手を出すなぁぁぁーー!!!」

目に優しそうな緑色の
男にしては長めの髪
切れ長の目をこちらに
恨めしそうに向けている

僕らはしばしの沈黙
しかし、目は座っていた

いやな目の座り方だ

「…お前、男居たのか?」

「アレが私の連れる男だと?
冗談はアレの存在くらいに
してちょうだいよ」

「それほど嫌いか」

ミッシェの目は
汚らわしいものを見るような
蔑んだ目で緑の彼を見た

「ミシェリーゼっ!?
何を言ってるんだ…
オレらの春の思い出を
思い出すんだぁぁーー!」

「あなたが蜂に刺されて
泣きわめいた事かしら?」

……僕はミッシェの後ろに
般若の顔が見えた気がした