俺はボーッとしながら音楽堂へ向かった。

ピアノの音色が聞きたくて。。




パタン


「……誰ですか?」


春花が問いかけてきた。


「木下春夜だ。」
「木下さん…?」
「ピアノ、弾いてくれ」


「……はい」




春花は俺の気持ちを察したのか、事情も聞かずおもむろに弾きはじめた。



~~♪


音楽堂に響く音色。




俺は春花を見つめていた。


楽しそうに弾く春花。

ピアノが好きなんだろうな。。




「ピアノ好きなんだな」


弾いてる途中に話しかけてみた。


「はい。だってアタシのとりえはピアノしかないですから。。」

弾きながら、春花は苦笑いした。



「勉強とかは?」

「できます。でも、あまり好きじゃないんです。。」

「俺もだ。」

「ギター、上手ですよね。アタシ、いつも外から聞いてました。」

「…上手くないよ。」

「いえ、お上手です。誰かを想って届くよぅに弾いているようで。。アタシは感動しました。」

春花はニコッと笑った。


「…ありがとう。」

「いえいえ。」



春花はどことなく、汐莉に似てる気がした。

外見がじゃない。
1人1人をちゃんと見つめている中身が。