カチャ


音楽堂には十字架に向かって祈る、日向春花がいた。

あたりだな。




「…」


「え?」

日向春花は泣いてた。


声をおしころして。。

泣きながらピアノを弾いていた。




いつもの優しく楽しげな笑顔ではなく…

苦しくて、耐えられないほど辛そうな泣き顔で。。




バッ



俺は日向春花の手を止めた。



「え…?」
「弾くな」
「…木下春夜さん?」
「泣きながら弾くな」
「…」
「お前の泣き顔なんて見たくねぇんだよ。。」
「…」




俺はそっと、日向春花の頭をなでた。


「…大丈夫か?」
「……ありがとう。。」
「あぁ。何があった?」
「…」
「言いにくかったらいいよ。」