「みんな、元気にしてる?」
「うん、まぁ……。連絡取り合ってる奴は大体……」
「そっかぁ。私ね、実は中学の頃からずっと好きな人がいるんだ」

 突然の告白。

 いや、少なくとも僕に対しての言葉ではない。そうでなければ、僕に打ち明けたりしないだろう……普通は。
「そうなんだ?」
 深追いは避けたいところだ。
「うん。でね、その人に想いを伝えにこっちに帰ってきたの」
 それは凄い。関東に引っ越した彼女が、わざわざ東北のこの地まで想いを伝えにくるとは……。
 普通できない。気持ち的にも財力的にも。後者は特に高校生には厳しいところだ。
「そうなんだ」
 深追いはしない。
「さっきからそればっかだよ?」
「ごめん」
 お手軽な返答をしていたら、あっさり指摘を喰らってしまった。
「そうだ! ねぇ、カラス君は彼女いるの?」
 ……いない。
 いないから、心がイタい。クリティカルヒット、痛恨の一撃、効果抜群、僕、大ダメージ。

「…………」

 HPが九割ほど削れた。瀕死間近を知らせるあの機械音(ポケ○ン)が脳内に響く。カラータイマーでもオッケー。
「ごめん。いないんだ?」
 謝る彼女が何処か嬉しそうに見えた。
 多分、こういうのを“勘違い”と言うのであろう。

「あ、あははは……」
 色々ともうダメ……。