1枚の、



絵が描きたい。



でも、



描けない。



どうしよう、どうしよう。



「どうして泣いているの?」



僕がきいてきた。



「紙もペンもクレヨンも絵の具もあるのに、絵が描けません」



ぼくはそう答えた。



「描いてるよ」



「描いてないよ」



「ほら、みてごらん」



ぼくは紙をみた。



真っ白な紙をみた。



「やっぱり真っ白じゃないか」



「まわりをみてごらん」



僕はいった。



「あの花も、あの鳥も、あの空も、ぜーんぶキミの絵だよ」



「ぼくの絵?」



「キミが描いた、キミの絵だよ」



「そうなんだね」



「そうなんだよ」



「ありがとう」



ぼくは絵の描き方を教えてもらった。