浅い眠りに漂う
頼りない覚醒

もう帰ることはないのに
カップを洗い
並べることの白さ

汚れた靴を履いて
街を出る

沢山のものを失って
僕が得たモノは何か?

その答えは破れたカバンには入らない

欠けたままの僕らは
身を寄せ合って
補いながら
歪に腫れていく

近くにいるために
近づかないように

でも
行かなきゃならなくなってしまった

誰もいない汽車に乗り込む

透き通る中の空気は肺へ

僕の呼吸で曇った窓の向こうに
あなたの姿を期待していた

こんなときに思い出せる思い出もなくて

渡せなかった切符は
いつになれば捨てられるだろうか

発車のベルが鳴る

誰もいない駅は僕を覚えてはいない
育った街は僕をすぐに忘れるだろう

朝焼けが手を振る

淋しくなるから
もう一眠りしよう