朱音ちゃんを寮に送ると、私と紅夜さんはアパートに戻ってきた

紅夜さんのリクエストである肉じゃがを作って、サラダと即席の漬物を用意

味噌汁を作ろうとしたら、すっかり味噌を買い忘れてて、紅夜さんの家にたまたまあった

即席のカップスープになった

テーブルに食事が並んでいくのを、紅夜さんはベッドに座って嬉しそうに眺めていた

大学の教科書を掴んだまま、視線は私を見て、顔をほころばせている

「ところでさ」

紅夜さんが大学の分厚い本をぱたんと閉じた

本をベッドボートに置き、その上に顔から外した眼鏡を置いた

私はご飯茶わんを持って、テーブルに膝をつくと顔を上げる

「父親と何を話したんだ?」

「え?」

「病院…父親と一緒にいただろ」

「ああ…うーんっと」

私はご飯茶碗をテーブルに置いて、天井を見上げた

何を話した…と聞かれても、紅夜さんにさっと話せるような話は、してないっていうか

重いようで重くない話をしたっていうか

あのお父さんの性格を、紅夜さんに話していいものか

「言えないことを話したのか?」

「言えなくもないけど」

私の煮え切らない発言に、紅夜さんの目が細くなる

「何か言われたのか?
傷つくような…言葉を」

「あ、ううん
それはない」

「嘘をつくな
俺に言えないんだろ?」

紅夜さんは私の前に膝をつくと、私の肩をついた

すごく心配そうな瞳をしているのがわかった