私に、何ができるだろう

今の紅夜さんに、何をしてあげられるんだろう

気のきいた言葉一つ言えないのに

紅夜さんのただ近くにしかいてあげられない

ただ甘えてくる紅夜さんを抱きしめてあげるしか…できないよ

「私、思うんだけど…綾さんも苦しんでると思う」

「は?」

紅夜さんの顔があがった

私の肩が軽くなった

「綾さんもまだ紅夜さんを想い続けてる
綾さん、紅夜さんが好きだよ
見てたらわかる…だから…」

私が見た綾さんの仕草が一つ一つ思い出される

綾さんも紅夜さんを忘れられなくて、苦しんでる

紅夜さんに甘えたがってる

「だから?」

「その…」

「なに?」

「わかんないけど…」

「恋人に浮気を勧めてるの?」

「ちがっ」

私は振り返って、首を振る