手洗い場で顔を洗い、笑顔を作った。

 大丈夫。笑えてる。

私は自分の笑顔を見て微笑むと、
その顔を維持しながらドアをノックした。

「はい?」

声はバド部の子達だと確認して中に入った。

「あれ? もうみんな帰ったよ」

私は、バド部の子達を見ずに荷物を入れた棚を見つめた。


ドキドキがとまらない。

 ない。ない。ない!
 私の荷物がない!

「あ、あのさ。私の荷物知らない?」

震える声でバド部の子に聞いた。

「あぁ。ヨーコちゃんが持っていってたよ。大丈夫?」

 やられた。もう一度会わなければならないの?