みんなが帰ってくれるのを、ここで待っていよう。と思い隠れていた。

「中村! なかむら! 帰るよ! いないの!」

ヨーコの声に私はドキッとして縮こまった。


私は“中村”という苗字ではなかった。

ある日突然

「なんかさ、ルイって中村って感じだよね。今日から中村ね」

と、なぜか“中村”というあだ名を付けられたのだった。

ヨーコのその意味不明な言動に腹を立てたが、やめてという度に

「もう中村に決まったんだよ!」

と部活の中で決定されてしまっていた。

もう、中村は私の脳みそに浸透してしまっていたのだろう。


自分の苗字でもない中村にドキっとしている自分が情けなくもあった。