「山田春実さん」
「…はいっ」
これからの私の中学校生活に幕が開いた。
期待と不安がある中学校生活。
一体どんなことがあるのかな!?
私は色々なことで胸をふくらませていたんだ。
これから先どんなことがあるのかは私も…誰も知らない。
だって私の中学校生活はまだ始まったばかりだから――

それから翌日のことだった。
私が友達できないか――と溜息をついたその時だった。
「何してるの?」
1人でいる私に2人でいるうちの1人が声をかけてくれた。
中田菜美ちゃん。
細身で背は私よりちょっと高いぐらいだ。
ショートヘアで元気が合って可愛い。
もう1人は土屋凛々子ちゃん。
2つに縛っていて、背が高くて大人っぽい子だ。
 私はとても嬉しかった。
だから色々なことをたくさん話したくなった。
まずは悩んでたことを聞いた。
「ぞうきんってどうやってかけるのか分かる?」
何でぞうきんだったんだろうなぁ…。
分からないけど多分単純な理由だ。
さっきぞうきんをかけてたからだ。
まぁ喋る内容をいちいち考えたりしないし、
ただ思いついたことを言うだけなんだ。
どんな質問をしても、どんな変なことを聞いても、
菜美はちゃんと答えてくれた。

私はだんだん心を開いていくようになった。
こうして、私は確信した。
この1年は楽しい1年になると。
そう思うと嬉しかった。
期待が高まった。

この日をきっかけに私は2人と仲良くなったんだ―――
そしてともに行動するようになった。
共に時間を過ごすようになった。
楽しくて嬉しくて笑顔が絶えなかった。
2人は相変わらず仲良しだったけど、
負けないくらい仲良くした。
…平等だった。
いつも3人で話していた。

そうだったんだ…。あの日までは。

どうして…変わっちゃったんだろう?
どうして…離れちゃったのだろう?
幸せすぎたんだ。
幸せすぎたから、贅沢してしまったんだ。
贅沢なんかしなければ良かったのに。
どうしてできなかったのだろう…?
後悔の連発だ。
あぁ…戻りたいよぉ…。

「春実ぃ――――!!」
いつもこうやって来てくれる。
「なぁに?」
私は返事をするんだ。
来てくれるのが当たり前みたいに。