はい、と男が肯定すると、文句の代わりに、ルビドのガハハという下品な笑い声が響いた。
「まぁ、本当なら、ホウトにいる間にカルレインを殺し、同時に王妃も暗殺、という段取りだったが、
別に、王妃などどうとでもなる。まずは、カルレインだ。
あの男を殺さなくては、カナン国は手に入らないからな。
で、脅迫状はもう出したのか?」
「いえ、ルビド様にご報告してからと思いまして」
男の従順な態度をちらとも疑うことなく、ルビドは、満足げな笑みを浮かべた。
「まだ、二人がいないことに、誰も気づいておらんのだな?」
「はい。朝までは誰も気づかないでしょう」
ところで、と男は声を潜めた。
「万一、失敗した場合なのですが」
ルビドのたるんだ顎の肉が、静止してから、再び活発に揺れ始める。
「ふん。そんなこと、決まっておるわ。
すべてソードのせいにして、カルレインに差し出せ」
ためらいのない、冷静な声。