冷えた体を温めるためにと、レリーは熱いお茶を用意した。
一緒に用意したがるファラを笑いながら、椀を2つ机に並べる。
「ごめんね、私につき合わせちゃって」
「いいえ、私も一緒に飲ませていただくなんて、申し訳ないです」
湯気の立ち上る椀を手にすると、ファラの掌にほんわりと熱が伝わる。
やけどしそうに熱いお茶を口に含むと、全身が生き返ったようだ。
ほっとしてついたため息とともに、
「そういえば、レリーのお母様は、ソードのお父様にお仕えしていたの?
一緒にお亡くなりになったと言っていたけど」
新たに湧いた質問を投げかける。
「はい。
ソード様のお父上のマリウス様が、カナンにいたときから。
一時は、ファラ様のお母上にもお仕えしたことがあるんですよ」
予想もしなかったレリーの答えに、ファラは飲んだお茶が喉に詰まってごほごほとむせた。
大丈夫ですか、と言いながら、レリーが慌ててファラの背をさする。
「母様に仕えてたって、じゃあ、レリーは、カナンの人なの?」