少しの沈黙が降りたあと、レリーはためらいがちに口にした。
「ソード様のお父上は、砂漠で溺れてなくなったんです。
私の、母も一緒に」
ファラは、息を呑んだ。
驚きが大きすぎて、声が出ない。
「砂漠を移動中に突然の雨に降られて、一緒にいた兵士たちも亡くなりました。
ソード様のお父上は、もともとこの国の方ではなかったので、
砂漠の怖さをご存じなかったのだと思います」
レリーの言葉には、いくつもの重大な真実が含まれていて、
ファラはごちゃごちゃに散らばった真実の欠片を、頭の中で必死に整理する。
繋ぎ合わせるためには、やはりレリーの協力が必要だ。
「ごめんね、私、また変なこと言ってしまったのね」
レリーは、小刻みに何度も首を横に振った。
「そんなことはありません。
私は、ただファラ様に知っていただきたかったんです。
このホウトのことも、
・・ソード様のことも」
全てを知って、それでも選んでほしい。
自分では救えない、ソードの魂を。