自分の胸に飛び込んできた気さくな王女に、レリーの瞳が大きく見開かれた後、
その温もりに導かれるように、レリーの顔が穏やかな表情に変わる。
・・やっぱり、憎めない方だわ。
ソードと並ぶファラの姿を見て、幾度となく、暗い気持ちに襲われた。
あそこにいるのが、もしも自分だったら。
そんな風に想像したのは、一度や二度ではない。
けれど、レリーは、ファラが嫌いになれなかった。
会えばひどい憎しみを向けてしまうと思っていたのに、
やってきたのは、よく笑い、冒険心のある剣の得意な明るい少女。
身構えていたレリーが、少年のようなファラに惹かれるのにさほど時間は要らなかった。
「ファラ様。私のほうこそ、申し訳ありませんでした。
どうかもう、気になさらないで下さい」
レリーの言葉でようやくファラは彼女の瞳を正面から見ることができた。