こんな時間に誰だろうかと思いながらも、
わざわざ扉を叩いて訪問を告げるということは、不審者ではないのだろう。
ファラは、毛布を引きずりながら、真夜中の訪問者のために扉を開いた。
「こんばんは。ファラ様。
あ、もうお休みでしたか?」
ファラの毛布に包まれた狸のような格好を見て、レリーは、すみませんと頭を下げた。
ファラは、慌てて顔の前で手を振ると、レリーに部屋へ入るように促す。
会いたかった相手がわざわざ来てくれるとは、実はついている日なのかもしれない。
単純な自分の頭に、このときばかりは、感謝した。
体の震えは止まらず、青ざめた顔をしていたが。
「あの、ファラ様。
お顔の色が真っ青ですが、お具合でも悪いのでは」
レリーが、いつもと変わらず接してくれるのがあまりにも嬉しくて、
ファラは、ソランの胸で長い間泣きじゃくったのも忘れて、あっさりと涙目になった。
思わずレリーに抱きつく。