もうこれ以上は、息が続かないというところで、ファラは解放された。


「残念ながら、今日は、ここまでだ。

これ以上は、お子様には、刺激が強すぎるからな」


ファラは、顔を真っ赤に染め、息を切らせている。

子供を見守るような優しい瞳で、シドは、ファラを見つめた。


「こ、子供じゃないわ!」


なんと答えて良いかわからず、ファラは、涙目で憎まれ口を叩く。


もう少し、別の言い方があるのかもしれない。

けれど、幼い頃から、男の子との遊びに夢中になっていた自分には、

そう答えるのが、やっとだ。


ファラの負けん気の強さに、シドは、ハッ、と笑い声をあげた。

涙目で自分を見つめるその姿は、たおやかな乙女と見まがうほどなのに、

まるで、純粋な少年の心を宿しているようだ。



・・本当に、おもしろい娘だな。



自分が知っている、女という生き物とは、あまりにほど遠い。

そう思ってから、ふと、遠い昔を思い出した。



・・いや、一人だけ、いたか。