「ああ。仕方ないさ。
ソード王子は、お情けで、城に置いてもらっている身分だからな」
「お情け?だって、王子なんでしょ?」
確か、ルビド王は、自分の子供ではなく、甥の子供を養子にしたと言っていたが、
それだって、立派な王族には違いない。
ファラの不思議そうな顔に、シドはほんのわずか、眉根を寄せた。
「あんた、本当に知らないのか?」
「何を?」
「ソード王子の親が、誰かってことをさ」
「誰なの?」
シドは、値踏みするようにファラを見下ろす。
これが演技なら、天下一品の悪女といえるかもしれないが。
自分を見つめる大きな瞳は、とても嘘がつけるようには見えない。
・・こいつの父親は、本当に何も教えずに、こいつをよこしたのか?
相手は、外交の駆け引きにも長けた、一級の政治家だ。
・・何が、狙いだ?
シドは、自分で調べろ、とだけ言うと、空を見上げた。