・・なんか。
どんな格好してても、かっこよく見えるなんて、ちょっと反則じゃない?
ファラは、上から下まで、じろじろとシドをながめた。
部屋から漏れる明かりで、さきほどまでよりも、シドの様子がよくわかる。
普段着ている、首まで詰まったきちんとした身なりでなく、部屋着なのだろうか。
首もとが開いた、ゆったりとした服装をしている。
綺麗な鎖骨だな、などと考えて、ファラはふるふると首を振ってから、
はっとした。
「あの・・・」
ためらいがちなファラの様子に、シドが何事かと体を起こす。
「怪我は、もう平気なの?」
上目遣いのファラの視線を受けて、シドは思わず、素の顔になった。
・・いいかげん、俺が敵だと認識しただろうに。
何かの駆け引きかとも思ったが、ファラの顔は、真剣そのもので、
本気で自分を心配しているように見える。