静かな広い部屋の真ん中で。

ソードは、長いすに足を投げ出すようにして、腰をおろした。


「冷たいお茶です」


侍女が運んだ器を、シドが机の上に置くと、

透明な器に入った液体が光を受けて、机の上に、ゆらゆらと影を映しだす。


喉は渇いているはずだが、それに口をつけることもなく、

ソードは、天上を眺めたまま低くつぶやいた。


「・・シド」


自分を呼ぶ冷たい声は、いつものことだが、

そこに、苛立ちが含まれるのは、珍しい。


およそ、人間らしい感情など持ち合わせていないと思っていたが、

どうやらそれは、自分の見込み違いらしいと、シドは思った。


「明日から、剣の訓練時間を倍に増やせ」


「それは、ファラ王女に負けたからですか?」


「黙れ!」