はらはらしながら見守っていたレリーは、ほっと胸をなでおろした。
ファラにも怪我はなかったし、ソードにも。
そう思い、何気なく目をやったレリーは、一瞬、どきりと胸が止まりそうになった。
ソードの後ろに、影のように寄り添っているシドが、
一瞬、まるで感情のない、人形のような冷たい瞳で、こちらを見た。
その視線の先にあるのは。
・・ファラ様?
いいえ、ソラン様、かしら?
ファラは、ソランに小言を言われているのか、俯いたまま、小さくなっている。
再び視線をシドに戻すと、そこには、いつもの柔和な笑顔があった。
・・気のせい?
自分の見たものが信じられず、
レリーは、この日見た事を、すっかり記憶の奥底にしまいこんでしまった。