パチッ

電気をつける音。

その瞬間に

暗かった小屋に

明かりが宿る。


その部屋には

ドラム

ギター

ベース

サックス

クラリネット

などの

楽器の数々。


「スゴッ…」

思わず声を出すあたし。

「だろ?俺、親父にギター取り上げられたとき、生きる希望っつーのかな…なくなって。もう、生きてる意味さえ分かんなくなったんだ」

うん。と頷く。

「なんで、俺ギターできないんだろうって。どうして家業を継がなきゃいけないんだろうってスッゲー考えた。でも、答えなんか出てこなくて。運命なんだって知った」

でも、その時ここを見つけたんだ。と付け足した。

「えッ」

「ここの管理人さんが楽器大好きでさ、いつでも使っていいって。気に入ったのがあったら持って帰ってもいいらしくて。もう使わないんだって。すっげー楽器の状態はいいのに」

その話をしている間

目が輝いている海。

「スゴいね、」

「だろ?流夏もやってみろよ」

「あ、たしはいいよ!できないし…」

「最初から諦めない!」

そう言って、

ギターを触らせる。

「これ、俺が1番気に入ってるやつ」

よく見ると

『SEA』

と入っている。

海=カイってことなんだろうな。

と思い、

思わず笑みがこぼれた。