「流夏!」

お母さんが大きな声をあげて

部屋に入ってきた。

「ん、」

適当に返事。

「ちょ、ちょっと、聞いて、聞いて」

なんだ、騒がしい…。

「なに?」

「あ、あたっちゃったの…」

「当たった?」

「町内の福引!」

……なんだ、

福引。

「ふ、福引!?」

やっぱり、ビックリ。

だって、15年間この町にいて

一度だって

当たったことのない、福引。

「そうなのよ~もう、お母さん嬉しくて」

「で、何が当たったの?」

「横浜2泊3日!ペア旅行券~」

まーた、微妙なものを…

そう思った。

「でもね、その日お母さんたち家族旅行なのよ」

「あ~沖縄行くって言ってたね」

あたしは、

またシャーペンを握り

問題を解き始める。


「だから、流夏に行ってもらおうと思って」